2016.11.18
shin splints(シンスプリント)の早期発見にはエコー(超音波観察装置)が必須です
先日、トレーナー活動をしていた中で下腿内側(スネの内側)が痛いと訴える選手がいましたのでその関連でシンスプリントについてご説明させて頂きます。
シンスプリントという言葉を聞いたことがありますか?陸上をはじめ運動部の生徒やスポーツ選手であれば聞いたことがあるという方も多いかと思いますが、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)ともいいます。
骨膜とはその名の通り骨の表面を覆っている膜の事で、骨折した時に痛みを生じるのはこの膜が損傷する事により痛みが生じるともいわれています。スポーツ活動(特に走る動作)量が増すと脛骨(スネの内側)付近が疲労・過労し、この骨膜に炎症が起きる事をシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)といいます。疲労骨折と同じ意味だと思われる方もいらっしゃいますが、シンスプリントが悪化したりそのまま放置すると疲労骨折へ移行するので疲労骨折の一歩手前の症状の事をいいます。ですのでどちらにしても放置せず、治療が必要となります。
症状としては、スネの内側下1/3部付近(内くるぶしの少し上)の圧痛(押されると痛い)や同部の腫れや熱感・運動後の痛み・ランニング中の痛み等で悪化すると安静時痛(じっとしていても痛む)歩行時痛・日常の生活の中でも痛みを感じる様になり上記でもお伝えしたように疲労骨折を起こす事もあります。
原因は完全には解明されておりませんが、ヒラメ筋や後脛骨筋(こうけいこつきん)・長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)・長趾屈筋(ちょうしくっきん)という筋肉に骨膜が引っ張られ骨膜炎・付着部炎を起こしているという説が有力だとされていますが、筋肉が付着していないであろう部位に痛みが出る場合もありますのでそれだけではないともいわれております。他にもランニングやジャンプ動作によりスネの骨に地面からの衝撃が繰り返し加わる事が原因の一つとして考えられています。
シンスプリントになり易い人の傾向として、足の内側縦アーチが低い人(土無まずが無い人・偏平足)、後足部が過回内または過回外している人・硬い路面をよく走る・陸上部など走る量が多くハードなスポーツを行っている人・片足を前に出し膝を曲げると膝が内側に入りやすい(knee in)・性差は若干女性に多い・成長期で骨の成長が完全でない学生等が考えられます。
画像上で重要な事はレントゲンやMRIで骨折線が確認されれば疲労骨折と診断され直ちにスポーツ活動の中止を指示されますが、シンスプリントの初期の段階ではレントゲン上では骨膜の肥厚や異常が写らない事です。ですので、骨には異常なしと判断されそのままの状態でスポーツを再開してしまうので痛みが引かず難渋する事や長期化することもあります。 (ちなみに疲労骨折の場合も痛みが出てすぐにレントゲンを撮っても骨折線は写し出されず2~3週間後に撮影すると骨折線や仮骨が発見されますので注意が必要です)
当院では、初期の段階でも骨膜の肥厚(骨膜が分厚くなる事)や疲労骨折が発見できるようにエコー(超音波観察装置)にてチェックさせて頂きます。 (レントゲンやMRIも大変すばらしいものであり、必要不可欠ですがエコーもより早期に細かな骨や組織の変化を発見できるものです)
足のスネの周辺が痛むスポーツ選手は当院へお早目に受診下さい。なるべく早期に発見し治療する事で痛みの長期化を防ぎます。
長くなってしまったので治療内容については後日載せさせて頂きます。
シンスプリント以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
2016.11.17
野球肘(後方型)について
以前、野球肘(外側型・内側型)についてご説明させて頂きましたので、今回は「後方型」について載せさせて頂きます。
肘関節の後方部分は上腕三頭筋という筋肉が尺骨という骨の肘頭という部分に付着しており、肘を伸ばす動作はこの上腕三頭筋という筋肉が収縮(力が入り縮まる)する事により可能となります。投球動作phaseでいえば加速期・フォロースルー期に痛む場合は、この後方型の可能性が高まりますので見落としをしないように必ずどの動作で痛むかなどを聴取します。
野球肘の後方型に起こる症状としては、上腕三頭筋の損傷・上腕三頭筋腱付着部炎・骨端線離解・肘頭剥離骨折・肘頭疲労骨折・肘頭障害等がみられます。
三頭筋損傷や三頭筋腱炎・付着部炎は上腕三頭筋を使いすぎる事で柔軟性や弾力性が低下した状態で練習を続けていると筋肉や腱を傷めてしまう事で起こり、投球動作で三頭筋の収縮が何度も繰り返されると牽引力が働き、肘頭部に骨折線が入り剥離骨折や疲労骨折を起こす場合もあります。 年齢によっては骨の成長がまだ未熟で軟骨の部分が損傷される骨端線損傷やその骨端線部が離れてしまう骨端線離解を起こすケースもあります。
リリース後に肘が伸びた時に、肘頭と肘頭窩という骨と骨がぶつかる衝撃が何度も繰り返されると骨に骨棘(こつきょく)といい棘(トゲ)が出来てしまう事もあります。
どの症状にしても常に肘がしっかりと曲げられるか・最後まで伸ばしきれるかをチェックする必要があり、現時点で可動域制限(曲げれない・伸ばせない)があれば一度、当院へ受診下さい。他の野球肘もそうですが、放置しておくと症状が悪化し、最悪何カ月もスポーツを中止しなければいけなくなる事もあります。
当然ですが、肘の痛みは肘を治療させて頂きますがそのほとんどが肘のみが原因という事ではなく全身の関節や筋肉の硬さ・可動性の低下などが影響している事が多いため、全身の状態を評価し改善していく事で肘の痛みが軽減される事もあります。
2016.11.16
膝のMCL損傷(内側側副靭帯損傷)について
今回は、転倒やスポーツ中に傷めやすく日常的に遭遇する事が多い疾患で膝の内側側副靭帯損傷(MCL損傷)についてご説明させて頂きます。
膝関節は、上部が大腿骨・下部が脛骨・前部が膝蓋骨という3つの骨で構成されており大腿骨と脛骨を固定する目的で4本の靭帯が付着しており、 それぞれを内側側副靭帯・外側側副靭帯・前十字靭帯・後十字靭帯と呼びます。大まかには同じ靭帯ですので関節の動きを制動するという点は同じですが細かくいうとそれぞれが重要な働き・機能を有しています。
内側側副靭帯は、浅層と深層の二層構造をしており膝の内側の安定性に大きく関係しています。ですので転倒やスポーツ中に膝が外反強制(膝が内側にくの字に曲がる状態)された際に、内側に付着している靭帯(ベルトの様な役目)が外力に負けてダメージを受ける事を損傷といい、完全断裂や部分断裂ともいいます。
臨床症状としては、患部の圧痛・損傷度合いにもよりますが膝の内側部に皮下出血(内出血)・腫脹・関節を動かした時に痛む・歩行時痛・関節水腫等がみられ、評価基準は、外観上の評価以外にも徒手検査(外反ストレス検査等)・エコー(超音波観察装置)で損傷度合いを判断します.
外反ストレステスト(valgus stress test)には基準があり、
gradeⅠ 伸展位・30°屈曲位ともに不安定性ないがMCL付着部に圧痛(+)
gradeⅡ 伸展位ではないが30°屈曲位にて内側の不安定性がみられ圧痛(+or++)
gradeⅢ 伸展位で不安定性が生じ、屈曲位では更に不安定性が強まる
の3つに分けられます(この基準に当てはまらない症例もありますが大まかな損傷の程度を把握するために必ずチェックします)
上記の基準の様に靭帯の断裂が広範囲の場合、膝の内側の不安定性がみられ膝が「グラグラ」する方もいらっしゃいますが軽度であれば見落としてしまう可能性もあるので受傷機転をしっかりと聴取することも大切です。
MCL損傷は単独損傷と複合損傷とに分けられますが、単独損傷の場合(他の靭帯や半月板等周囲の組織の損傷がなくMCLのみの損傷の事)、一般的には保存療法(手術しないで治す)が選択され予後も比較的良いとされていますが、膝の伸展位(伸ばした状態)で不安定性がみられる場合には手術適応とされる事があります。複合損傷で多いのが、ACL(前十字靭帯)やMM(内側半月板)の損傷です。ACLは完全な関節内靭帯のため、自然修復は期待できず関節の安定性にとって特に重要とされているので手術適応となります。
MCL損傷で保存治療を選択した場合は、程度にもよりますが膝部にギプスやシーネで数週間固定をして患部の安静・治癒促進を図ると共に許容範囲内での関節可動域訓練・干渉波や特殊電気治療・鍼灸治療をする事で膝の関節拘縮を生じさせず、治療期間の短縮になりその後、患部の圧痛がなくなり不安定性が消失し膝の可動域にも制限がなければ終了となります。
適切な時期に固定等治療をしなかった例や放置した場合は不安定性が残る場合や関節拘縮が起きてしまう場合もありますので、その後のスポーツ活動が制限されたり、変形性膝関節症へ移行する場合もありますので軽視せず当院へ受診下さい。
MCL損傷以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
2016.11.10
トレーナー活動 磐南 野球部
昨日もトレーナー活動として磐田南高校へ行ってきました。
昨日は風が強くかなり寒かったですが、選手たちは寒いと言いながらも練習に励んでいました。
今回初めて診させて頂いた中で、臀部(お尻のほっぺた)の痛みを訴える選手がいました。骨盤付近ですので剥離(はくり)骨折も念頭に置かなければならないのですが所見としても可能性が低い事と、数日前に整形外科にてレントゲン検査をし骨には異常がないとの説明を受けたそうなのでそこは除外できました。
骨盤に付いている筋肉はそこから足の方へ向かう筋肉と、腰の方へ向かう筋肉があります。今回の選手の場合は各動作時痛や徒手検査をし、足の方へ付く筋肉の部分損傷と判断致しました。
骨盤周囲の骨は特に成長期の選手で野球や陸上・サッカー等様々な競技の場で剥離骨折を起こしうる部位ですので注意が必要です。 この選手も今回は大丈夫でしたが下肢の張り感や疲労が蓄積し、筋肉の柔軟性が低下し筋の質が落ちた状態で運動を続けていると最終的に「バキッ」と剥離骨折を起こしてしまう可能性があるため日ごろからのケアが重要ということをお伝えさせて頂きました。
筋肉の損傷(肉ばなれ)は初期の段階ではRICE処置をしその後、損傷度合いにもよりますが徐々にストレッチを開始し筋の柔軟性を上げていく事で再発も防げます。スポーツ以外でも身体のどこかに力を入れた際に痛みが生じる場合は、筋肉が損傷(ダメージ)している可能性が考えられますのでエコー(超音波観察装置)で確認する必要があります。そのまま放置し痛みがひどくなったり悪化する場合もあるのでお早めに当院へご相談下さい。
その他にも、肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
また来週も張り切って、楽しんでサポートに行きたいと思います。
2016.11.08
上腕二頭筋長頭腱炎(Biceps long head of tendinitis)
上腕二頭筋長頭腱炎について
野球やバレーボールなどオーバーヘッドスポーツでみられるスポーツ障害の中に「上腕二頭筋長頭腱炎」というものがあります。
上腕二頭筋という名称を耳にしたことがある方もいらっしゃるとは思いますが、腕の「力こぶ」の筋肉がそれにあたります。その上腕二頭筋の2本あるうちの1本が肩の上方に近づくにつれて細い腱となり結節間溝(けっせつかんこう)という骨の溝を通り、肩の関節内に侵入していきます。この腱を長頭腱といい、この腱が炎症を起こした場合「上腕二頭筋長頭腱炎」と診断されます。
原因としては、スポーツや仕事等で肩をよく動かす人にみられ一般的には使いすぎによるものと考えられています。
身体のいたる部位にある腱は筋肉と違い「収縮」といって伸び縮みするのではなく「滑走」といい骨の上で滑る(スライド)様な動きをしますので、肩・腕の使いすぎで腱が摩擦により炎症を起こせば「腱炎」となり腱が切れれば「断裂」となります。
(実際には腱は固定されたままで上腕骨が動くので相対的に腱が動きます・肩・肘の動く方向により腱への負担が異なります)
(ちなみに断裂は大きく2つのタイプに分かれ、一度の強い力で断裂する場合と徐々に摩耗され線維が傷み最終的に断裂してしまう場合があります。前者は若年層に多く、後者は高齢者に多いのが特徴的です)
長頭腱の走行は、上腕骨の上方で90°近く急激に角度が変わるためその構造的特徴から機械的刺激を受けやすく炎症やダメージを起こしやすく傷めやすいといわれています。
症状としては、肩関節前面の運動時痛(動かした時の痛み)が主で炎症が強い場合は腕の下の方まで痛みが放散し、結節間溝部や長頭腱に沿った圧痛(押されての痛み)特徴的です。
Yeargason testやSpeed testという徒手検査があり、この長頭腱にストレスをかけ痛みが誘発されれば陽性となり、より本症を疑います。
治療方法としては、腱の炎症を超音波治療器や鍼(はり)治療で鎮静化させその後、レーザー治療器やお灸(おきゅう)治療にて局所の循環を良くし傷んだ組織を修復させ、周囲の筋肉の緊張を和らげ、胸椎や肩甲骨など胸郭全体の動きをつけ、長頭腱にかかる負担を軽減させます。その他、テーピングや置き鍼も効果的ですので症状に合わせてご提供させて頂きます。
当院ではエコー(超音波観察装置)で長頭腱の摩耗度合・炎症度合いをチェックし状態を視覚的にも確認してから治療・施術させて頂きますのでご安心してお受け頂けます。
スポーツ選手の肩の痛み・上肢拳上位での作業が強いられ、肩に痛みがある方はお気軽に当院へご相談ください。
上腕二頭筋長頭腱以外でも、肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
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