2016.07.12
学童期に多い踵(かかと)の痛み
小学生に多いとされる踵の痛みで圧倒的に多い疾患が、Sever病(踵骨骨端症しょうこつこったんしょう)です。
特にスポーツをしている子に多く、習い事や運動会のシーズンになり運動量が増す頃になると踵が痛いと言って受診されるケースが多くあります。Sever病(セーバー病)・踵骨骨端症と名前を聞くと、「何か悪い病気かな」と心配さる方もいらっしゃると思いますが、ご安心ください。今回の痛みだけに限らず、成長期の骨端症(いわゆる成長痛)は、最終的には痛みの消失を認める良好な疾患ではあります。とは言いましても放置して治る人ばかりではなく、そのままの状態でスポーツなど運動を続けていると踵に加わる度重なる衝撃は病態終焉の遅延化を招き、疼痛のためパフォーマンスが制限され、練習にも参加できず支障をきたす事もあります。つまり、放置しているとどんどん状態が悪くなり痛みがまし、そのため治りが遅くなり練習に参加できないのでレベルが上がらず、上達できない。なんて事も見受けられます。
小学生の頃は骨(軟骨)がまだ弱く、走るたびに踵の部分に衝撃・ストレスが加わり炎症が起き痛みが発生します。
微小循環障害の関与や骨が癒合(成長)するまでは力学的に脆弱(ぜいじゃく)な事やアキレス腱などが硬い事、スポーツ量の急激な増加などが原因として考えられます。
臨床所見としては、アキレス腱付着部(踵の)の圧痛・アキレス腱の短縮・踵骨後方で下部1/3での内外側の圧迫テスト陽性などがあげられ、自覚症状は、踵の部分を押すと痛む・特にスポーツ後に痛みが増す・悪化すると日常生活の中でも痛みが出る事です。
最初にもお伝えしたように、最終的には痛みの消失を認める予後が良好な疾患であり安静によって軽快(痛みが治まる)しますが、軽視していると運動の再開によって再発することが多く経過は長期にわたる場合もあります。
治療方法としては、踵の部分へ加わる衝撃を軽減させるため、パッドを入れる事・アキレス腱や足底(足の裏)の筋肉が硬い事が多く柔軟性が低下している事が多いため各筋肉のストレッチ・踵部分へレーザーや超音波治療器を用い痛みや炎症を抑える事などが大切です。
場合によってはテーピングをすることで痛みを抑えスポーツを続けながら治療することも可能です。
スポーツによる痛みでお悩みの方はお気軽にご相談下さい。
2016.07.09
交通事故後の筋力(握力)低下について
交通事故後の筋力(握力)について
交通事故後の痛みを訴え、昨日ご来院された患者様のお話です。
主訴は、首から腰にかけての痛み(特に左の背部)との事で、幸い頭痛やめまい・吐き気などの自律神経症状はありませんでした。(まだ被害に遭われてから日が浅く今後その様な症状が現れないか心配ですが…)
問診後、各関節の可動域制限(ROM limited)や圧痛部位(tenderness)・運動時痛(POM)徒手検査にて神経症状などをチェックしている中で気になる症状がありました。それは握力(grip)です。一見、事故の痛みとは無関係に思われますが、実は大いに関係があります。
交通事故後の筋力(握力)低下って関係あるの?
通常、手に力を入れようとする場合、脳から「手に力を入れなさい」という指令がでます。その指令が脳~脊髄(中枢神経)~末梢神経~筋肉という回路を経て、はじめて手に力が入るのですが指令が回路のどこかが原因で遮断されたりうまく伝達が行われないと、手に力が入りづらかったり最悪の場合、動かなくなります(全く動かないほどの場合はおそらく総合病院に搬送されるくらいの状態ですが…)
今回の患者様の場合、整形外科でレントゲン上では特に異常は見られなかったそうですが、考えられる事として「むち打ち」により首が前後に強く振られ、頚周囲の骨や筋肉だけでなく神経にもストレスが加わったことにより握力が低下したのかもしれません。
交通事故後の筋力(握力)低下って元に戻るの?
交通事故後、初診時の握力は右43.2㎏ 左31.1㎏ でした。基本的に左右差が±5㎏以内であれば許容範囲内とされており大体は利き手が少し強いか左右同じくらいが一般的ですので今回は10㎏以上差があるのをみると頚からの影響で低下している事を疑います。(他に低下するような持病・ケガの既往もなく肘や手首での検査では異常は見られませんでした)
このような握力の低下は、治療していけば徐々に回復していく事が多いのですが、意外に患者様ご自身は握力が低下していることに気付かないことが多く、今回も握力計で測定するまで気づいておられませんでした。
交通事故後の痛みは軽視しないように注意
交通事故後の症状は単に痛みや外観上で見られるものばかりでなく、自覚していないものの方が多い場合もあるので痛みがないからといって軽視せず、受診する事をおすすめ致します。
またこのように初診時も含め、定期的に他覚的所見をとり評価する事で保険会社さんとの連絡がスムーズになるため大切になります。当院では、その様な定期的な評価も大事にしておりますので安心して治療をお受け頂けると思います。
交通事故後の筋力(握力)低下についてまとめ
交通事故後、むち打ち症状で首を傷めると
- 神経の伝達に滞りが生じ握力低下が認められる事があるが、多くは一時的な症状で数週間から1カ月後には握力が回復する
- 握力の低下は自覚的には気付かないほどで受診され計測した際に気付く
- 他の症状も含め少しでも異変を感じた場合、自己判断で大丈夫だと軽視せず受診される事をオススメ致します
お願い!!
当院はInstagramでも身体の痛みや悩みに関する内容を中心に投稿しております。当記事が少しでもお役に立てたのであれば是非フォローして頂けると幸いです。また、交通事故に遭い当院へ受診を希望される場合は保険会社や医療機関にその旨を話す前に事前にこちらへご連絡下さるとスムーズに受診頂けます。その他、何かお困りの事等ございましたらお気軽にご連絡下さい。
(下記どちらでも構いません)
何かお困りの事がございましたら、交通事故のより専門的な治療をしている当院へご相談下さい。
2016.07.06
ばね指(snapping finger)
指の掌側(手のひら側)の痛みを訴え来院された患者様がいらっしゃいました。以前から指を曲げるとカクカク音がするのが気になっていたが、今回壁に指をぶつけて痛みが増したため来院されたとの事でした。
この指を曲げると「カクカク音がする」という症状で最初に思い浮かぶのが、ばね指(snapping finger)です。
この「ばね指」とは腱鞘炎とは少し違い、腱が肥厚(分厚く)したり輪状腱鞘(pulley)という腱が浮き出てこない様に止めておくバンド状のものが狭小化し、結果的に腱の滑走が障害されて「引っかかり感」が出現します。
手のひら側の腱(スジ)には5つの輪状腱鞘(pulleyA1~A5)(プーリー)と3つの十字腱鞘(C1~C3)(文献により多少異なります)があり、その中の A1 pulley部の腱鞘が狭小化(トンネルが狭くなるイメージです)し通過障害をきたします。
症状としては、A1部(手のひら側の指の根本)に圧痛(押されると痛い)があり触ると硬結(コリコリした感じ)を触れ、指の屈伸時に弾発現象(カックンカックンする感じ)があり悪化すると痛みやロッキング現象(指が曲がったまま伸びない)が出現します。
成人では拇指・中指・環指(1・3・4指)に多いとされています。
治療方法は、手術せずに保存療法となる場合と、手術にて腱鞘を切除(狭くなったトンネルを切って広げる)する場合があります。
手術を選択される症状は、指にロッキングが発生し自力で伸ばせなくなった場合(反対の指で伸ばさないと戻らない)、勧められることが多いです。ですのでカクカク、音がしたり自力で指を戻せる状態であれば保存療法で治療していきます。(最終的な判断をされるのは医師ですが…)
指にある腱は前腕(肘下)まで繋がっており手首を越えたあたりから筋肉に変わります。ですので指先の腱の部分だけでなく前腕の筋肉の状態も重要で筋肉の弾力・柔軟性を獲得していくことにより腱の滑走(すべり)も変化していきます。
当院では、圧痛部位に超音波・レーザー等を使用し痛みを軽減させ循環を良くしていくと共に筋肉をストレッチや手技で緩め弾力性を高めます。
鍼灸、特に鍼も有効的だと思います。また手術をした後、皮膚の癒着が強く関節が固くなり曲げ伸ばしが困難になる場合(硬縮)もございますのでその様な症状でお困りの方もお気軽にご相談下さい。
2016.06.18
足底腱膜炎 Aponeurosis plantaris
足首を捻り外くるぶしの痛みと足の裏側の痛みを訴えて来院された患者様です。
症状としては、足底の特に踵(かかと)付近の痛みがあり歩き出しの第一歩目が激痛とのことでした。
足底部の痛みとして考えられるのが、今回の足底腱膜の痛みや、腰からくる神経痛、小学生であればsever病(いわゆる成長痛)のあたりをまず念頭に問診を進めていきます。(他にも幾つか考えられる疾患がありますが割愛)
今回の場合は、70代女性のためsever病は除外され残りの、腱膜の痛みか腰からの痛みかにしぼられました。腰付近にも痛みがあったため神経による痛みも考えられましたが、各種徒手検査にてその様な徴候はみられませんでした。
患者様の話を聞いていくと、「朝起きた時にベッドから起き上がる際の一歩目で足の裏側をズキンッと針を刺されたような痛みがでる」とおっしゃっておりこの言葉がでた時点で足底腱膜炎を、より強く疑います。
(患者様の声を聴くことは原因を探る近道となりますので大変重要です。)
問診後に触診し、足底腱膜炎特有の症状である圧痛(押された時の痛み)や疼痛が確認できたためこの痛みだと判断致しました。
足底腱膜炎とは、踵骨付着部(かかとの辺り)において腱膜(すじ)の繊維の微細損傷を生じて炎症を起こすためと考えられており、スポーツによる使いすぎ(over use)や加齢性変化(高齢者)が原因となる症例が多く、先ほども述べたように朝の起床時の一歩目に踵(かかと)付近の疼痛が足底腱膜炎の決め手となります。急激な体重増加・過度な運動・長時間起立・痛風・関節リウマチ・ふくらはぎから足底の筋肉のツッパリ感・偏平足など特徴的な足の骨格などが発症の因子としていわれております。
治療プランとしては、急性期(炎症が強い場合)は安静・アイシングとし、徐々にストレッチや手技により筋肉の柔軟性・弾力性をつけ負担が軽減できるようにしていきます。
当院では、超音波治療・レーザー治療等により組織の修復・治癒能力の促進を図りより早期に痛みが軽減されるように治療していきます。またホームエクササイズ等ご自宅で行って頂けるような運動もご指導致します。
お悩み等あればお気軽にご相談ください。
2016.06.14
突き指(mallet finger)
バレーボールや野球などのスポーツ競技や、日常でモノや壁に指をぶつけて起こる「突き指」についてご説明させていただきます。
指の先端部の骨がかけたり、腱(スジ)が切れると指の第一関節より先が垂れ下がるようになります。このケガの名前がmallet finger(マレットフィンガー)やdrop finger(ドロップフィンガー)といいます。
mallet fingerには骨がかける骨性マレットと腱(スジ)が断裂する腱性マレットがあります。分かりやすく言えば骨折するタイプと腱が断裂するタイプがあります。どちらも外見上は同じように見えレントゲン撮影し骨折があれば骨性、骨折がなく腱の断裂が認められれば腱性と診断をされます。
それぞれタイプにより固定期間が多少異なり、断裂した腱がくっつくより骨折した箇所が癒合(くっつく)する方が早いため骨性マレットの方が数週間固定期間が短くなっております。
痛みの程度は骨性の方が痛みを訴える事が多く、腱性の場合は個人差もありますが痛みはあまりないが指が垂れ下がっているため心配で受診したという患者様が割と多いように感じます。
治療法は大きく分けて保存治療(手術しない)か手術(観血的治療)になります。
手術の場合、経皮的鋼線刺入固定法(石黒法)という皮膚を切らずに針金を指先に打つ方法が多く行われております。手術のメリットは手術さえしてしまえば固定の管理が楽になり再断裂・再骨折の確立が低くなります。デメリットはピンを打った箇所に傷が残る事と手術時・手術後の痛みが強い事です。ただ私個人の考えですが、腱性の場合は8~12週間(2~3カ月)近く固定をしなければいけないため手術をお受けになった方が管理が楽なようにも感じます。(どのタイプでも医師により多少の固定期間の違いはありますが…)
一方、保存療法は固定具にて過伸展位(垂れ下がった指先を逆方向に反らす)に保ち、最短でも4~6週間は固定をしなければいけません。当然ですがその間、固定を外すことは可能ですが一度でも指が垂れ下がる事のない様十分に気を付けて外します。(当院では来院時に外し管理させて頂きますのでご安心ください) 腱性(腱の断裂)の場合も時間はかかりますが可能ではあります。
保存療法のメリットは手術の痛み(麻酔の注射等)がなく傷も残りません。デメリットは、固定の管理が大変で一度でも曲げてはいけない事や、皮膚がかぶれたり、かゆみがでたりします。
全体を通して言えることは、保存療法も手術も多少は指が垂れてしまう場合もありますのでどちらがいいかは患者様により違いますが固定期間をどう過ごしたいか、麻酔などの注射が平気であれば手術をお受けになるのもいいと思います。
大事なのはその後、固くなった関節を治療・リハビリにより動く関節・指にすることです。
ここからが重要なところですが、今回は文が長くなってしまったのでまた次回にご説明させていただきます。(書いているうちにアツくなってしまいついつい書きすぎてしまいました)
当院では保存療法にて治療する事ができますので、どうしても手術したくない場合や糖尿病などのご病気や薬の影響で手術できない方はお気軽にご相談ください。
エコーにてチェックし骨折や腱の断裂があるか確認し、必要であれば医療機関をご紹介いたします。
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