2016.11.22
突き指による痛み(Jammed finger)
昨日、小学生の男児が突き指をしたため来院されました。
手の突き指というとmallet finger(マレットフィンガーについてはこちらをクリック)等で起こる剥離骨折や腱の断裂・各関節での脱臼・掌側板損傷(しょうそくばんそんしょうについてはこちらをクリック)・靭帯損傷または断裂等が思い浮かびます。
(この「パッ」と思い浮かぶ疾患の数が多ければ多いほどより正確な評価ができます。仮に突き指と聞き、思い浮かぶ疾患が一つしかなければそれしか考えられないため間違った判断をしてしまう・見落としてしまう可能性が高くなります。ですので豊富な知識が必要となります)
□まずは受傷機転から考えます
今回の患者様は、バランスボール(大きなボールで人が上に乗っても破裂せず硬くはないが皮が厚いボール)にて友人たちとドッジボール中、キャッチミスをして指が「グキッ」となったとの事でした。指が伸ばされたのか曲げられたのかは不明
(バランスボールでドッジボールという発想、さすが小学生ですね…(^_^.))
(この受傷機転で上記の考えられる疾患の中で除外されるものはありません)
□次に視診、外観上から考えます
見た目で分かる事は患部:右手第二指PIP関節(いわゆる指の第二関節)部に若干の皮下出血(内出血)がみられ、指を曲げたり伸ばしたりすると痛む
視診からDIP関節(指先の関節)のドロップ(落ち込み)がないためマレットフィンガーは除外され、痛みはあるが曲げ伸ばしでき関節付近で骨が突出はしていないので脱臼は除外され、皮下出血がみられる部位、範囲から掌側板損傷か中節骨(ちゅうせつこつ)の剥離骨折をより疑います
(皮下出血の量・範囲からして大きな骨折は考えにくくなります)
□次は触診に移ります
押されて痛むのは先ほどと同様のPIP関節部掌側(手のひら側)で、過伸展(指を伸ばす方向にストレスをかける)させると痛むが動揺性はありません。両側面部や背側(手の甲側)は押しても痛くなくストレスをかけてもさほど痛みが誘発されず関節の緩さ・動揺性もありませんので、背側の腱・側面の側副靭帯の断裂や損傷は考えにくく、視診の際と同じく掌側板損傷や掌側の中節骨部の剥離骨折がより疑われます。
□最後にエコー(超音波観察装置)にてチェックします。
疑われていた剥離骨折の様な所見は見られず、掌側板の損傷もありませんでしたが健側(痛くない方の手指)に比べ関節付近の腫れがあり低エコー(炎症症状でみられる)像があったため関節部の炎症と判断致しました。
今回の場合は、指サック状の取り外しが可能なテーピング固定をして頂き、超音波にて炎症を抑え組織の修復・回復を促します。
(掌側板損傷や骨折の場合はプライトンやアルフェンスシーネという固定具で固定する必要があります)
このように突き指といっても最低、これぐらいのケガの種類が考えられますので細かく観察し見落としが無いように慎重に診させて頂きます。
直接、命には関わる事ではありませんが骨折を見落とす事や不必要な固定・長期的な固定等をするという事は患者様のその後の人生に大きく影響してしまう場合もありますので診させて頂くという事は簡単な事ではなく責任をもって診させて頂きます。
(もちろん100%完璧。なんて人はいませんがそれに限りなく近づける様に日ごろから知識や技術の向上を目標に励んでいきたいと思います)
手の突き指以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談下さい。
2016.11.21
シンスプリントの治療について
先日、シンスプリント(詳しくはこちらをクリック)についてご説明させて頂きましたが今回はその治療法などをお伝えさせて頂きます。
まず原因と考えられる筋肉(下腿三頭筋・後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋)の付着部で炎症を起こし、柔軟性が低下している事が考えられますのでその炎症をアイシングや超音波にて鎮静化させ、レーザー治療や鍼(はり)・灸(きゅう)治療・手技・ストレッチ等で筋の弾力性・柔軟性を向上させる事が大切です。ストレッチは各筋肉それぞれが一番伸長される肢位で行うとより効果が期待できますのでホームエクササイズとしても伝えさせて頂きます。
炎症が引き痛みが軽減された後は、下肢のアライメント(バランス)や足部のアーチ等をチェックし痛みの原因と考えられるような状態・姿勢だった場合はエクササイズや足底板・整体等でアプローチし治療する事で再発予防にもなります。
代表例としては膝を曲げた時に内側に曲がる「knee in」(ニーイン)しやすい場合は前方荷重エクササイズや足のアーチが低下している偏平足にはタオルギャザーエクササイズなどを行います。他にも背骨の硬さや側弯症(そくわんしょう)・骨盤、股関節の硬さ・足部の関節の緩さ・バランス感覚の低下等も影響される事が考えられますのでそれらの点も評価させて頂きます。
中・高校生は医療機関等へ受診し競技そのものを中止とされる事や通院を理由にメンバーから外され試合に出場出来なくなる事を恐れ「だましだまし」競技を続けてしまうケースがあり、そのまま放置していると悪化し最終的には「疲労骨折」を起こしてしまい結果的に競技を長期的に中止となってしまう事がありますので早期から治療をお受け頂く事が大切です。ですので当院では、スポーツ活動の継続または中止かは状態にもよりますが、「絶対安静」はあまりせず、治療をお受け頂きながらできる範囲で行っていただける様な治療プランをご提供させて頂きます。もちろん少しでも早く痛み「ゼロ」を目指して治療させて頂きます。
練習前や試合前にはテーピング等で固定・サポートする事も必要ですので巻き方などもお伝え致します。
シンスプリント以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
2016.11.19
膝の打撲症について
膝の打撲症について
膝の打撲症について、当院へ実際に来院された患者様のお話をさせて頂きます。
昨日、転倒して膝を地面に強打し痛みがなかなか治まらないという事で来院されました。
膝を打撲した際に第一に疑う疾患は?
膝を転倒し強打した場合、まず第一に疑うべき疾患は膝蓋骨(しつがいこつ)骨折といってお皿の骨の部分が骨折することです。
痛む部位や関節の腫れ方でおおよその見当はつきますので、エコー(超音波観察装置)を含め検査し疑わしい場合は一度、医療機関にてレントゲン検査をお受け頂くようにお願いする場合もございますが、今回の患者様は先に整形外科に受診しレントゲンを撮り骨折はなく骨に異常はないと診断され、シップだけ処方されたたそうですが痛みが治まらず不安な気持ちと他に何か治療方法はないかと思われ当院へ受診しようと思って下さったそうです。
膝の打撲症をエコーで観察
症状としては、膝の内側の腫れ・若干の内出血・患部の圧痛(押されて痛む)・軽度だが膝の運動時痛・歩行時痛でした。
上記でもお伝えしましたがレントゲン結果も異状がない事と臨床所見からも大きな骨折はないと判断しましたが、エコーで確認してみると関節内が腫れているのが確認できました。
膝にお水が溜まるのはどんな時?
通常、関節は関節包という袋のようなもので覆われており関節の中と外とで隔てられておりますのでその関節包より内側を関節包内・外側を関節包外といい、関節包内には関節の滑りが円滑になるように滑液(関節液)という潤滑油の役割を果たす液体が入っております。
関節が変形し摩擦が大きくなると過剰に滑液が産生され、この過剰に出たものがいわゆる膝の「お水」というわけです。
関節の中で骨折や軟骨・半月板などの組織が損傷した場合、そこから出血するので水を抜くと真っ赤な血が出る事があります。(通常は透黄といい透き通った黄色の液体です)ですので膝の水を抜く注射をして真っ赤なお水(血)がでれば何らかの大きなケガ(骨折・靭帯断裂)があることを意味するのです。
エコー画像上では血腫の場合、通常の滑液(黒色)とは違い白色に近い色で抽出されるので出血は起きていないか起きていても少量だと判断しました。しかしレントゲン上では写し出されない関節内の腫れが確認できたので組織の損傷がやはりあるため治療が必要です
(関節内の腫れが外観上では無く水を抜く必要がないと医師がご判断されましたので大きなケガではないと考えますが…)
単なる打撲と説明すると安心される方もいらっしゃいますが、打つ場所や強さによっては痛みが長引く場合や骨挫傷というケガになっている事もありますのでその様なケガをされた方は軽視せず当院を受診して頂く事をおすすめ致します。
痛みが強く足を着くだけでも痛い場合は、骨折の有無に関わらず松葉杖を使用し足の負担を軽減させる事も必要です。
松葉杖の使い方等を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
膝の打撲症以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談下さい。
2016.11.18
shin splints(シンスプリント)の早期発見にはエコー(超音波観察装置)が必須です
先日、トレーナー活動をしていた中で下腿内側(スネの内側)が痛いと訴える選手がいましたのでその関連でシンスプリントについてご説明させて頂きます。
シンスプリントという言葉を聞いたことがありますか?陸上をはじめ運動部の生徒やスポーツ選手であれば聞いたことがあるという方も多いかと思いますが、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)ともいいます。
骨膜とはその名の通り骨の表面を覆っている膜の事で、骨折した時に痛みを生じるのはこの膜が損傷する事により痛みが生じるともいわれています。スポーツ活動(特に走る動作)量が増すと脛骨(スネの内側)付近が疲労・過労し、この骨膜に炎症が起きる事をシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)といいます。疲労骨折と同じ意味だと思われる方もいらっしゃいますが、シンスプリントが悪化したりそのまま放置すると疲労骨折へ移行するので疲労骨折の一歩手前の症状の事をいいます。ですのでどちらにしても放置せず、治療が必要となります。
症状としては、スネの内側下1/3部付近(内くるぶしの少し上)の圧痛(押されると痛い)や同部の腫れや熱感・運動後の痛み・ランニング中の痛み等で悪化すると安静時痛(じっとしていても痛む)歩行時痛・日常の生活の中でも痛みを感じる様になり上記でもお伝えしたように疲労骨折を起こす事もあります。
原因は完全には解明されておりませんが、ヒラメ筋や後脛骨筋(こうけいこつきん)・長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)・長趾屈筋(ちょうしくっきん)という筋肉に骨膜が引っ張られ骨膜炎・付着部炎を起こしているという説が有力だとされていますが、筋肉が付着していないであろう部位に痛みが出る場合もありますのでそれだけではないともいわれております。他にもランニングやジャンプ動作によりスネの骨に地面からの衝撃が繰り返し加わる事が原因の一つとして考えられています。
シンスプリントになり易い人の傾向として、足の内側縦アーチが低い人(土無まずが無い人・偏平足)、後足部が過回内または過回外している人・硬い路面をよく走る・陸上部など走る量が多くハードなスポーツを行っている人・片足を前に出し膝を曲げると膝が内側に入りやすい(knee in)・性差は若干女性に多い・成長期で骨の成長が完全でない学生等が考えられます。
画像上で重要な事はレントゲンやMRIで骨折線が確認されれば疲労骨折と診断され直ちにスポーツ活動の中止を指示されますが、シンスプリントの初期の段階ではレントゲン上では骨膜の肥厚や異常が写らない事です。ですので、骨には異常なしと判断されそのままの状態でスポーツを再開してしまうので痛みが引かず難渋する事や長期化することもあります。 (ちなみに疲労骨折の場合も痛みが出てすぐにレントゲンを撮っても骨折線は写し出されず2~3週間後に撮影すると骨折線や仮骨が発見されますので注意が必要です)
当院では、初期の段階でも骨膜の肥厚(骨膜が分厚くなる事)や疲労骨折が発見できるようにエコー(超音波観察装置)にてチェックさせて頂きます。 (レントゲンやMRIも大変すばらしいものであり、必要不可欠ですがエコーもより早期に細かな骨や組織の変化を発見できるものです)
足のスネの周辺が痛むスポーツ選手は当院へお早目に受診下さい。なるべく早期に発見し治療する事で痛みの長期化を防ぎます。
長くなってしまったので治療内容については後日載せさせて頂きます。
シンスプリント以外にも肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談ください。
2016.11.17
野球肘(後方型)について
以前、野球肘(外側型・内側型)についてご説明させて頂きましたので、今回は「後方型」について載せさせて頂きます。
肘関節の後方部分は上腕三頭筋という筋肉が尺骨という骨の肘頭という部分に付着しており、肘を伸ばす動作はこの上腕三頭筋という筋肉が収縮(力が入り縮まる)する事により可能となります。投球動作phaseでいえば加速期・フォロースルー期に痛む場合は、この後方型の可能性が高まりますので見落としをしないように必ずどの動作で痛むかなどを聴取します。
野球肘の後方型に起こる症状としては、上腕三頭筋の損傷・上腕三頭筋腱付着部炎・骨端線離解・肘頭剥離骨折・肘頭疲労骨折・肘頭障害等がみられます。
三頭筋損傷や三頭筋腱炎・付着部炎は上腕三頭筋を使いすぎる事で柔軟性や弾力性が低下した状態で練習を続けていると筋肉や腱を傷めてしまう事で起こり、投球動作で三頭筋の収縮が何度も繰り返されると牽引力が働き、肘頭部に骨折線が入り剥離骨折や疲労骨折を起こす場合もあります。 年齢によっては骨の成長がまだ未熟で軟骨の部分が損傷される骨端線損傷やその骨端線部が離れてしまう骨端線離解を起こすケースもあります。
リリース後に肘が伸びた時に、肘頭と肘頭窩という骨と骨がぶつかる衝撃が何度も繰り返されると骨に骨棘(こつきょく)といい棘(トゲ)が出来てしまう事もあります。
どの症状にしても常に肘がしっかりと曲げられるか・最後まで伸ばしきれるかをチェックする必要があり、現時点で可動域制限(曲げれない・伸ばせない)があれば一度、当院へ受診下さい。他の野球肘もそうですが、放置しておくと症状が悪化し、最悪何カ月もスポーツを中止しなければいけなくなる事もあります。
当然ですが、肘の痛みは肘を治療させて頂きますがそのほとんどが肘のみが原因という事ではなく全身の関節や筋肉の硬さ・可動性の低下などが影響している事が多いため、全身の状態を評価し改善していく事で肘の痛みが軽減される事もあります。
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