2019.03.19
小児に多い股関節周辺の痛みについて
小児に多い股関節周辺の痛みについて
先日、磐田市在住の小学1年生の男児が股関節周辺の痛みを訴え来院されました。
お話を聞いてみると、前日に一人でサッカーボールを蹴っていたら股関節が痛くなり、その日の夜中にも股関節の激痛を訴え泣いていたそうです。翌朝になっても痛みがあり(何とか学校には行けたそうですが)心配になったため当院へ受診されました。
この男児は一か月前にも同様の症状を訴え、その際は整形外科(病院)を受診しレントゲン検査をしたものの異常はみられないと説明を受けたそうで、そこから一度痛みはなくなり、サッカー等の運動や日常生活上も特に問題なく過ごしていたそうです。
どんな症状?
来院時、多少の跛行(足を引きずって歩く)はみられましたが自力で歩いてベッドの乗降りは可能でした。股関節周辺以外の痛み(特に大腿部~膝関節部)は訴えませんでしたが多少、股関節の動きに制限があり外転(足を外に開く)と内旋(あぐらと反対方向へ捻る)方向へ動かすと痛みが出現し、患部の熱感、腫脹、皮下出血はみられず安静時痛もそこまで強くはない状態でした。(ちなみに1週間前頃に風邪を引いていましたが現在は発熱もなく体温は平熱、出生時にみられる先天性股関節脱臼もなくステロイドの長期使用もありません。)
まず、この年齢層で男児、股関節の痛みを訴える際に一番最初に疑う疾患は……『単純性股関節炎』というものです。
単純性股関節炎とは、3~10歳前後の小児に出現する疾患で男女比は2~3:1で男児に多く、小児期に発症する股関節疾患で最も頻度が高い疾患です。原因(病因)として考えられているのは、風邪等の感染、アレルギー、外傷によって起こると考えられていますが、はっきりとは分かっていません。
症状は、股関節痛を訴え歩行障害は軽度の跛行を呈するものから歩行不能なものもあり、股関節の可動域制限がみられますがおおよそ2週間以内に症状が消失してしまう事が多い疾患です。また、血液検査やレントゲン検査は異常を認めない事がほとんどですが、エコー(超音波観察装置)では関節内に炎症が起こるため前方関節包(関節の袋の様なもの)に炎症が確認されます。
鑑別すべき疾患は、「化膿性股関節炎」、「大腿骨頭すべり症」などが挙げられますが特に注意しなければいけないのが「ペルテス病」です。
(ペルテス病については次回以降詳しく書きます)
ペルテス病も症状が似ている上、男児に多く発症年齢も近いため単純性股関節炎と類似する疾患で、特に初期の段階ではレントゲン上の骨の変化がみられないので発見が遅れてしまう可能性がありますので注意が必要です。
単純性股関節炎の場合は、2週以内にはほとんどの痛みが消失するのでそれ以上痛みが続くようであればMRI検査を受けて頂くため医療機関(整形外科)をご紹介させて頂く事をお伝えし初診時の評価を終えました。
今回の患者様はエコー上で多少の関節部の腫れが確認されましたが、骨の変形等はみられず、1週間後には痛みが軽減し今ではサッカーも再開できているという事なので一安心しました。
今回の様に突然、夜中に「イタイイタイ」と泣きじゃくる事がありましたら上記の様な疾患にご注意ください。
交通事故後の痛み・むち打ち損傷・肩こり・頭痛・耳鳴り・めまい・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談下さい。 初診(初めて)の方はお電話にてご連絡下さい。
2019.02.06
ぎっくり腰(急性腰痛症)で来院される方が急増中です。
当院では、ここ1カ月の間で新患・再診を含め「ぎっくり腰」様の症状でご来院される患者様が急増しております。
そもそも、何をもって「ぎっくり腰」というのか、患者様にも「これはぎっくり腰ですか?」等と聞かれる事がありますので改めて定義を調べてみたところ『ぎっくり腰』とは、急に起こった強い腰の痛み(急激に起こる腰の激痛)を指す一般的な名称で病名や診断名ではない。との事でした。
したがって、痛みの感じ方は人によって様々ですのでご本人がこれまでに経験した事のない程の腰痛や耐え難い痛みと感じれば、それは「ぎっくり腰」だと考えます。 私も所見をとらせて頂き身体の状態がどうなっているか等を説明させて頂く際に「ぎっくり腰」と説明した方が患者様もご理解される事から説明の言葉として多々用います。
では、どのような状態が「ぎっくり腰」かというと、腰を捻る動作や中腰で重い物を持ち上げた時・座った状態から立ち上がろうとした際に「グキッ!!」と急激に発症し、且つ激痛のため歩行もままならぬほどの痛みを感じ大半は安静時痛(じっとしていても痛む)が生じます。また、腰痛だけでなく臀部や下肢(脚)の方へ拡がる痛み(放散痛)や同部にシビレが併発する事も少なくありません。
しかし上記のように急激に・突然に起こるとされておりますが患者様によっては1~2週間前から腰に張りや違和感を感じていた等とおっしゃる方も多くいますので前触れ(前駆症状)がある時もケースとして考えられます。
原因は、はっきりとされておりませんが急激に動かした際に筋肉や靭帯・関節包等の軟部組織が損傷を受けたり関節に負荷が加わり炎症を起こした結果痛みが発症する事と考えられ、他にも日常生活上の姿勢が悪い事や運動不足によって血液循環障害を起こし筋の柔軟性が低下した結果痛みが発症する事も考えられます。
『ぎっくり腰』になってしまったっ場合は、まず第一に安静を基本とし安静時痛や熱感があるようならばアイシングを行い、動いた際にコルセットをしていた方が楽であれば使用して頂くのも効果的ですが、コルセットはあくまでも一時的に使用するだけに留め習慣化しないように注意が必要です。(コルセットを長期的に使用すると腹筋・背筋が委縮し腰の可動範囲が狭くなり腰痛の原因になるからです) また、初期の段階では安静が大事ですが1~2週間経過後の安静は逆に腰痛を悪化させる原因となりますので無理のない範囲で動かしていく必要があります。
当院ではこの様な痛みで来院された患者様には、強い痛みが治まるまではマッサージは基本的には行いません。(腰ではなく痛みが出現していない臀部や下肢は行います)何故かといいますと、患部を揉む事で炎症症状がより増強され結果的に悪化させてしまう事もあるからです。炎症症状が強い時期は、痛みの状態にもよりますがアイシングや超音波で炎症を抑え、「鍼治療」をさせて頂きます。
鍼治療は急性期(炎症期)から行える治療手段の一つで、個人差はありますが来院時に歩くのもままならない程の状態だったのが治療後には歩けるようになっている事もあるので効果が期待できると思います。
鍼治療が初めてという方でも、当院では使用する鍼の太さを調節し刺激量も強くなりすぎないように治療させて頂きますので安心してお受け頂けると思います。
最後に、「ぎっくり腰」様の症状・痛みでも実は腰椎椎間板ヘルニアによる痛みや別の疾患・病気から出現している可能性も十分考えられますのでその事を念頭におき単なる腰痛と軽視するのではなく、評価・治療をさせて頂くよう心掛けております。症状によっては医療機関をご紹介させて頂く場合もありますのでご安心下さい。
痛みがひどくなる前に早めの受診をおすすめ致します。
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2018.11.16
腰痛による疼痛性側弯について
先日、左殿部から下肢にかけて若干のシビレと痛み(鈍痛)を訴えて来院下さった患者様に疼痛性側弯がみられましたのでご紹介させて頂きます。
疼痛性側弯とは、一般的に『ぎっくり腰』と呼ばれる急性腰痛症や腰椎椎間板ヘルニアの急性期等で腰部痛が著しく現れた時、無意識に痛みから逃れようと身体が楽な姿勢に傾くと外観上で脊椎(背骨)が側方等へ傾き曲がってしまう事をいいます。
この患者様は当初、腰痛よりも殿部痛が強く次第に下肢まで痛みが波及していきました。日常生活上でも、靴下が履けなかったり朝起床時の痛みが強くなり医療機関にてブロック注射の治療を受けたりもされたそうですが翌日には痛みが戻ってしまう様な辛い状態で、同時に腰部痛も強くなりだしたので初めてではありましたが当院にて鍼治療を受けて頂く事になりました。
現在、一回目の治療を終えた時点ですが殿部から下肢への痛みやシビレの症状はほぼ消失しましたが腰部痛が残存しています。下肢の症状はブロック注射をしても改善しない程でしたので、一回で変化がでるか多少心配でしたが改善している様子でしたので安心しましたが、まだ腰部痛が残っておりますので、完全に痛みが無くなる事を願い治療させて頂きます。
疼痛性の側弯は原因となっている痛みが軽減されれば自然になくなり背骨が真っ直ぐに戻ります。
交通事故後の痛み・むち打ち損傷・肩こり・頭痛・耳鳴り・めまい・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談下さい。 初診(初めて)の方はお電話にてご連絡下さい。
2018.11.13
腕が抜けた?小児の肘内障にご注意を!!
先週の土曜日、「腕が抜けたかも?」と2歳前の女の子がご家族と来院されました
子育て世代のお母さんでも子供の「腕が抜ける・外れる」という状態を知らない方もいらっしゃると思いますが、正確には「腕」ではなく「肘(橈骨頭)が抜ける」ことをいい、肘内障と呼びます。以前にも肘内障についてはブログで書かせて頂きましたので詳しくはこちらをクリック。
ご来院された時は、泣き疲れていたのかお母さんに抱かれた状態で泣いてはいませんでしたが、手はだらりと垂れさがった状態でした。
まず大事なのが外れた時の状況(受傷機転)です。手を引っ張った・転んで手をついた・高い所から落ちた・寝返りをうった際…等が外れる原因として考えられますが、その中でも転んだり転落して痛がるようになった、あるいは保護者が全く見ていなく気付いた時には泣いていた。というケースでは肘内障ではなく『骨折』している可能性もあります。小児で肘のあたりをかばって動かさずにいる。という状況であれば、まずこの肘内障の可能性が高いのですが、十分な問診もせず決めつけてしまうと骨折等のケガを見落としてしまう可能性もありますので注意が必要です。
今回の患者様は手を引っ張ってしまった時から痛がり始めたという受傷機転がはっきりしていましたので骨折の可能性は低くなります。
エコーで骨折がないか確認させて頂くために、そーーーーっと近寄りましたがやはり大泣き… そりゃー怖いよね…(;_:)…
エコー画像や外観上で骨折の可能性が低い事が確認できたので、すぐに整復。親指を患者様の小さな肘にあて少し動かしたと同時に「コクッ」と音がして整復完了。
骨が元に戻るとすぐに泣きやみ全く使わなかった腕を動かし始めます。バンザイができれば整復されていると判断しますので、毎回の事ながらそのバンザイをみる私が万歳したくなる気持ちになります。
肘内障は、個人差がありますので外れやすい子もいれば全く外れない子もいますし、整復も簡単に入る子もいれば入りにくい子もいます。でも小学生くらいになれば皆、骨が成長し外れなくなるので外れやすいお子さんをもった親御さんも安心してください。
今回の患者様も容易に整復できて良かったぁぁぁぁ(^_^.)
決して肘内障は簡単な症例ばかりではありません。
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2018.09.05
野球肘外側型(上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎)OCDについて
野球肘外側型(上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎)OCDについて
以前にもご説明させて頂いた野球肘(外側型)である上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(以下OCD)の症例をご紹介させて頂きます。
当院へいらした患者様は、磐田市の中学2年生の野球部男子です。
以前(少なくとも半年以上前)から肘の外側に痛みを感じる様になり当初は投球時や投球後の痛みだけだったが、次第に症状が悪化し日常生活でも肘が曲げづらい・完全に伸ばす事ができないなど支障が出てきていたそうで、心配になり近隣の整形外科に受診しレントゲン検査をしたが『骨には異常がない』と説明を受けシップを処方されたので1週間程部活を休み、その後少しずつ再開したそうです。
それからは、痛みを感じつつも投げ続けてきたが、痛みが軽減しないのを心配に感じ当院へご来院されました。
野球肘外側型の見分けポイント
痛みを訴える部位(肘外側)、期間、肘の可動域制限が強い。この情報だけで十分疑う疾患が絞られます。まず圧痛部位の確認を行い、各靭帯のストレステスト等徒手検査を行う事で他の疾患と鑑別していきます。
ここでの鑑別すべき疾患は、内側型(上腕骨内側上顆剥離骨折・内側側副靭帯(MCL)損傷・円回内筋損傷・ゴルフ肘)や後方型(肘頭障害・肘頭先端部障害・肘頭骨折・肘頭疲労骨折・肘頭骨端線離開、上腕三頭筋付着部炎)、外側上顆炎(テニス肘)他があります。
圧痛部位、運動時痛、可動域制限等の確認が終わったらいよいよエコー(超音波観察装置)で患部の確認です。肘の外側にプローブをあて画面をみて、やはりOCDが確認されました(;_:)。。。
以前にもブログにて説明をさせて頂きましたが、このOCDは早期発見・早期治療・予防が大切で起きてからでは遅いケガです。
最悪の場合、ピッチャーを辞める・投球時の利き手交換・スポーツを辞める等になってしまう場合もあります。昨今では野球教室や各組織団体が定期的にエコーチェックを行う事で早期に発見し未然に防ぐ仕組みになってきていますが、それでもこの患者様のようにケガの存在を知らず痛みを我慢しながら練習を続けてしまう場合もあります。
OCDは、進行し悪化していくと我々ではどうすることもできずスポーツ専門医であられる医師のご判断に委ねられます。だからといって全くこの様な患者様が来ないとは限らず、むしろ「少し痛いから念のため来た」等と来院されるケースも十分に考えられますので当院では野球に限らず手を酷使するスポーツを行っている学生は必ず肘のチェックをさせて頂いております。
少しでも多くの野球に携われている周囲の大人の方がこのケガの事を知って頂けたらと思います。
肩こり・慢性腰痛・膝の痛み・スポーツ障害・ケガ・交通事故後の痛み・むち打ち損傷・各関節の拘縮(骨折後)等 身体の痛み・悩みがあれば当院へお気軽にご相談下さい。 初診(初めて)の方はお電話にてご連絡下さい。
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