肘が抜けた?肘内障?小児の手は引っ張らないで

先週の土曜日、「腕が抜けたかも?」と2歳前の女の子がご家族と来院されました。
子育て世代のお母さんでも子供の「腕が抜ける・外れる」という状態を知らない方もいらっしゃると思いますが、正確には「腕」ではなく「肘(橈骨頭)が抜ける」ことをいい、肘内障と呼びます。以前にも肘内障についてはブログで書かせて頂きましたので詳しくは下記記事をご覧ください。
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ご来院された時は泣き疲れていたのか、お母さんに抱かれた状態で泣いてはいませんでしたが、手はだらりと垂れさがった状態でした。
まず大事なのが外れた時の状況(受傷機転)です。手を引っ張った・転んで手をついた・高い所から落ちた・寝返りをうった際…等が外れる原因として考えられますが、その中でも転んだり転落して痛がるようになった、あるいは保護者が全く見ていなく気付いた時には泣いていた。というケースでは肘内障ではなく『骨折』している可能性もあります。小児で肘のあたりをかばって動かさずにいる。という状況であれば、まずこの肘内障の可能性が高いのですが、十分な問診もせず決めつけてしまうと骨折等のケガを見落としてしまう可能性もありますので注意が必要です。
今回の患者様は手を引っ張ってしまった時から痛がり始めたという受傷機転がはっきりしていましたので骨折の可能性は低くなります。
エコーで骨折がないか確認させて頂くために、そーーーーっと近寄りましたがやはり大泣き…
そりゃー怖いよね…(;_:)…
エコー画像や外観上で骨折の可能性が低い事が確認できたので、すぐに整復。親指を患者様の小さな肘にあて少し動かしたと同時に「コクッ」と音がして整復完了。
骨が元に戻るとすぐに泣きやみ全く使わなかった腕を動かし始めます。バンザイができれば整復されていると判断しますので、毎回の事ながらそのバンザイをみる私が万歳したくなる気持ちになります。
肘内障は、個人差がありますので外れやすい子もいれば全く外れない子もいますし、整復も簡単に入る子もいれば入りにくい子もいます。でも小学生くらいになれば皆、骨が成長し外れなくなるので外れやすいお子さんをもった親御さんも安心してください。
今回の患者様も容易に整復できて良かったぁぁぁぁ(^_^.)
決して肘内障は簡単な症例ばかりではありません。




